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海外研修生だより【5】ワガノワ伝統の舞台、『くるみ割り人形』に出演

2017/03/14

ワガノワ・バレエ・アカデミー伝統の舞台へ
 3名の海外研修生が学ぶワガノワ・バレエ・アカデミーの生徒たちは、学校公演やプロの舞台への出演など、劇場で踊る機会がたびたび与えられます。
 なかでももっとも注目されているのが、毎年12月と1月に行われる『くるみ割り人形』の公演。アカデミーがもっとも活気づくこの時期の、研修生たちの取り組みをご紹介します。

 研修生活2年目の南江祐生から「今週から『くるみ割り人形』のリハーサルが始まりました」と便りがあったのは、11月中旬のこと。
「昨年と同じく、花のワルツのリハーサルに参加しています。今年も公演に参加できるよう、しっかり頑張ります」と前向きです。この週のレポートでは、「ミハイロフスキー劇場で『ラ・シルフィード』(ブルノンヴィル版)を観ました。全幕で観たのは初めてでしたが、アクトのクラスで『ラ・シルフィード』のマイムを勉強しているので、学ぶことがたくさんあり、とてもよかったです」と、積極的に学ぶ様子を伝えてきました。


さまざまな課題に向き合って

『くるみ割り人形』の公演は、12月に3回、1月に2回が予定され、出演者はすべてオーディションで選ばれます。生徒たちにとってソリスト役での出演は大きな目標。また5月には留学生によるコンサートも予定されているとのこと。研修生たちは、慣れないロシアでの生活や、体調の問題にも向き合いながら、次々と大きな目標に対峙しています。

『くるみ割り人形』の出演候補者たちは、それぞれの役のリハーサルに参加し、その後オーディションにのぞみます。中国の踊り、花のワルツ、ねずみ役のリハーサルに参加中の山下湧吾からは、「それぞれたくさん課題はあるのですが、頑張ってやっています。これだけの機会をもらえたことに感謝して取り組む毎日です。3人ともそれぞれ、やらなければならないことを必死に頑張っています」との報告が。

 山下から送られた11月中旬のサンクトペテルブルクの写真は、雪景色。「早速滑って転びました」と、厳しい寒さをむしろ楽しみながら過ごしているようです。

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11月上旬のアカデミーの中庭。サラサラとした雪に足をとられることもしばしばという。山下湧吾撮影

 ソリスト役で舞台に立つという目標を掲げ、リハーサルに励んできた山下湧吾。11月下旬のオーディションでは、残念ながらソリスト役を掴むことができなかったそう。「自分はまだまだと実感させられました辛いことも悔しいこともありましたが、すべて自分の成長につながると信じて頑張ります」との報告。その後、ねずみと花のワルツでの出演が決定し、初日直前にはこんなメールが。
「昨日、マリインスキー劇場で公開リハを終えて、明日初日です。ハプニングもありましたが、この日を迎えられてとても嬉しいです。花のワルツ、ねずみとも、第一キャストで出演させてもらえることになりました。マリインスキー劇場で踊ること、ワガノワの公演に参加できることに感謝し、精一杯役をまっとうしたいです」

 

憧れの舞台に立って

『くるみ割り人形』には花のワルツでの出演がきまったという南江祐生。「今週は12月1日と6日にエルミタージュ劇場で『人形の精』を上演、ワルツで参加しています。来週からマリンスキー劇場での『くるみ割り人形』のリハーサルが始まります。公演日によっては3人が同じ舞台に立てる日もあるかもしれません」と知らせてきました。リハーサルでは緊張しがちというけれど、「マリインスキー劇場にアカデミーの生徒として立てることがとても嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです」と、謙虚に、また積極的にリハーサルに取り組んでいたようです。

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マリインスキー劇場でのリハーサルより。

 12月の初日の舞台に南江祐生は花のワルツで出演、「舞台の上で、とても充実した時間を過ごすことができました」と、嬉しさいっぱいの報告がありました。
 紅一点の吉江絵璃奈は、オーディションで中国の踊りの役を勝ち取り、本番にのぞんだそう。その後、「初日に踊れて本当に嬉しかった。あの舞台で踊れたことは一生の思い出」とのレポートが届きました。1月の最終公演でも中国の踊りを任され、感激もひとしお。「中国の踊りは、幕が開いたとき、いちばん前に座っている役なので、照明がついた瞬間は本当に感動します。最終日は、日本人のパートナーと一緒に踊りました。音が速くて少し焦ったりもしましたが、なんとか踊りきることができました。 5月には留学生によるコンサートが行われるのですが、そのための練習も始まっています。これからまた忙しくなるかと思いますが、怪我に気をつけて頑張ります」


 ワガノワ伝統の舞台を経験した研修生たち。ひとまわりもふた回りも大きくなり、さらなる課題に取り組みます。 

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『くるみ割り人形』の舞台に、3人一緒に出演!

海外研修生だより【4】
第7回ワガノワ国際バレエコンクール体験記 

2016/12/05

吉江絵璃奈ジュニア部門第2位に

 10月下旬サンクトペテルブルクで開催されたワガノワ国際バレエコンクールにて、ワガノワ・バレエ・アカデミーに留学中の吉江絵璃奈がジュニア部門第2位に入賞しました。今回は、このコンクールの模様を吉江から届いたレポートとともにご紹介します。

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左:コンクールのパンフレットやTシャツ。右はクラス・レッスンの時に吉江がつけていたゼッケン
右:出場ダンサーたちとともに


バレエ学校主催の権威あるコンクール
「名誉あるコンクールに出場できて、そのうえ第2位に入賞させていただいて、本当に嬉しかったです」という吉江の感想のとおり、ワガノワ国際バレエコンクールは、1988年に第1回が開催され、その後ウリヤーナ・ロパートキナ(1990)、スヴェトラーナ・ザハロワ(1995)、ワディム・ムンタギロフ(2006)ら、のちに世界的に活躍するダンサーたちが入賞した、権威あるコンクールとして知られています。
 2006年を最後にしばらく開催されていませんでしたが、アカデミーの校長を務めるニコライ・ツィスカリーゼの主導により、10年ぶりの開催が実現しました。
 バレエ学校主催のコンクールとあって、55人の参加者のうち半数はワガノワの生徒ですが、ボリショイ・バレエ学校や海外からの参加者も。今回日本からは、ワガノワで学ぶ生徒と外部生を含め13人の若きダンサーたちが参加しました。
 今回の審査委員長はワガノワ・メソッドを確立したアグリッピナ・ワガノワの最後の教え子として知られるイリーナ・コルパコワ。ほかにジャンナ・アユポワ、マリーナ・レオノワといったロシアの指導者、ローザンヌ国際バレエコンクール芸術監督のアマンダ・ベネットらに加え、東京バレエ団芸術監督斎藤友佳理が審査員を務めました。

 審査で重視されるのは、クラシックの基礎。審査はクラス・レッスンから始まります。


「このコンクールに出ることになって、嬉しく思う反面、たくさんの不安がありました。とくに、レッスン審査です。これに受からなければ、せっかく練習してきたヴァリエーションを舞台で踊ることができないのです。
 ロシアの人は皆とても綺麗ですから、レッスン審査で、どうしたら審査員の目にとまるだろうかと、よく考えてのぞみました。 
 10月24日は、レッスン審査の振りうつし。バー、センター、ポワントと、一気に行われたので覚えられないところもあり、友だちと確認したりして覚えました。
 翌25日が、レッスン審査。試験の時のように、次々と、前日に振りうつしした振りを見せていきました。
 審査が終わってから1時間ほどで出場者が集められ、結果が発表されました」(吉江)

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レッスン審査の様子


 第1次審査を通過したのは55人中24人。半数以下にしぼられました。吉江も無事、第1次審査を通過し、ヴァリエーションの審査による決戦へと進みます。

「26日はエルミタージュ劇場でのリハーサル。普段は床に傾斜のついたスタジオで練習をしているので、傾斜のない舞台は、少し感覚が違いました。
 決戦は27日。朝、出場者のためのレッスンに出て、その後バスでエルミタージュ劇場まで行きました。私のグループは男の子と一緒に審査だったので、待ち時間が長く、緊張しました」(吉江)
 
 決戦は男性、女性ジュニア、女性シニアの3部門に分かれ、ダンサーは規定の作品の中から2つのヴァリエーションを踊ります。
「私は『海賊』からオダリスクの第3ヴァリエーションと、『ディアナとアクティオン』のヴァリエーションを踊りました。とくにオダリスクのほうに心配があり、本番で失敗、とても悔しい思いをしました。ディアナは、一度エルミタージュ劇場のコンサートで踊らせていただいたので、落ち着いて踊ることができました。が、最後をしっかり決めることができず、両方とも納得のいく踊りはできませんでした。
 それでも第2位をいただくことができたので、とても驚きました」(吉江)

 コンクールの場はまた、同世代の若きダンサーたちからたくさんの刺激をもらうことができる、素晴らしい機会でもあります。

「パ・ド・ドゥで第1位、第2位だった韓国のペアとワガノワの生徒のペアなどは、本当に引き込まれる踊りで、ただ踊れているだけでなく、その先に、パ・ド・ドゥだけでストーリーが見えるような表現力があり、とても勉強になりました。私もそんな踊りができるようになりたいと思いました」(吉江)

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左:シニア部門第2位のエレオノーラ・セヴェナルドさんとツーショット!
右:ユリア・カゼンコワ先生と

 
 今回のコンクールでアグリッピナ・ワガノワの作品を踊ったのは、『ディアナとアクティオン』を選んだ吉江ただ一人だったといいます。

「ワガノワ・バレエ・アカデミーで練習して、この舞台で踊れたということが本当に嬉しかったです。
 決戦の2日後にマリインスキー劇場で行われた〈ガラ・コンサート〉でもディアナを踊らせていただき、とても良い経験ができたと思います。
 これまで指導してくださった先生がた、コンクールの審査員の方々、応援してくれた家族や友だち、沢山の人に支えられてこのコンクールを終えることが出来ました。本当に感謝の気持ちで一杯です。
ありがとうございました」(吉江)

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ディアナのポーズ!

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〈ガラ・コンサート〉で踊った『ディアナとアクティオン』のヴァリエーション。袖から友人が撮影してくれた1ショット




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審査員と入賞者たち。前列中央は審査委員長のコルパコワ。右端にツィスカリーゼ、左から2番目には斎藤友佳理の姿も。

海外研修生だより【3】
 世界の名門校、ワガノワ・バレエ・アカデミーのレッスン

2016/11/11

 サンクトペテルブルクのワガノワ・バレエ・アカデミーでは、現在、東京バレエ学校から留学中の、3名の海外研修生が学んでいます。今回は、彼らが体験している現地でのレッスンの様子や日本との違いについてお届けします。



基礎をしっかり学んでいます

 本場ロシアの名門バレエ学校と聞けば、さぞ厳しくて怖い先生が勢揃い、と思われるかもしれませんが、「担任の先生はとても優しい先生で、留学生もしっかり見てくれます」という吉江絵璃奈。「クラスレッスンはやはり、基礎。何日か同じ振りでレッスンをします。週に一回、最初からトウシューズを履いてレッスンする日もあります。バーレッスンの段階からルルベがとても多く、上体のつけ方も難しい。最初はついていくのが大変でした」(吉江)。
 男性も同様、「顔の付け方、手の位置、角度など細かくやっています。担任の先生はロシア人の生徒だけでなく、留学生の僕らもしっかり見てくれる、とてもいい先生です。ここではほぼ一日中、バレエのことを考えながら生活ができます。こんなにバレエに浸かった生活は、日本ではできないことだと思っています」(山下湧吾)。



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吉江絵璃奈から届いた、ある日の寮の食事の写真。「食事は食堂で食べています。今日は買い物に行ってフルーツとヨーグルトを買いました」(吉江)




日曜日以外、バレエ中心の生活

 バレエを学ぶうえでの日本との環境の違いは、皆がおおいに実感しているところでしょう。
「一日中バレエ学校にいてレッスンを受けられるという、とても恵まれた環境だなと思います。またクラシック以外にも、キャラクター、アクト、デュエットの授業があるのでとても勉強になります」(吉江)。
「日本では高校に通いながら教室に通っていたので、午前から夕方までは学校へ行き、夜にバレエのクラスを受けるような生活をしていました。こちらへ来てからは、日曜日以外は毎日午前から午後までバレエをしているので、本当にバレエを中心に生活をしているなと感じています。先生は厳しいですが、その分丁寧に教えてくださいます。クラスの子たちも、先生の厳しい指導に応えようと、それぞれしっかりクラスに励んでいる印象です」(南江祐生)。
 3人にとってワガノワ・バレエ・アカデミーはこれ以上ないほどの充実した環境。研修生活はまだ前半戦、これからも体調管理に気をつけながら、じっくりと、バレエに取り組んでいくことでしょう。


構成:加藤智子

海外研修生だより【2】
 バレエの聖地、サンクトペテルブルクでの生活がスタート!

2016/11/11

 東京バレエ学校の海外研修生として、現在、3人の生徒がサンクトペテルブルクのワガノワ・バレエ・アカデミーで学んでいます。今回は、初めて降り立ったロシア、サンクトペテルブルクの印象と、そこでの新たな生活について、彼らのレポートをお届けします。



バレエの聖地に到着して──

 吉江絵璃奈と山下湧吾の二人にとって、はじめてのサクトペテルブルク。渡露した9月は、日本はまだ残暑厳しい日々でしたが、サンクトペテルブルクは既に寒さに包まれていたそう。
「 "もうすぐワガノワに着く!"とドキドキでした」(吉江)、「海外に来たのが初めてだったので、これがロシアなのか、海外なのかってすごく思いました」(山下)と、ワクワク感たっぷりの様子。ワガノワ・バレエ・アカデミーのある街の中心部は、「とても綺麗な建物ばかりでどこを見ても芸術だなと思いました。今まで映像や写真で見ていた場所に自分がいるという感動が込み上げてきました」(吉江)。



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ロッシ通りにあるワガノワ・バレエ・アカデミー



ワガノワ・バレエ・アカデミーと寮生活

 3人の研修生は、現在、ワガノワ・バレエ・アカデミーの寮で生活しています。
「学校と同じ敷地内なので、寮を出たらすぐに学校へ行けたり、寮母さんがいたり、セキュリティ面でも安全なところが良いところです。困っていることは、寮の建物自体があまり新しくはないので、お湯が出るのが遅かったり、騒がしくするとほかの部屋に聞こえてしまうことです」と伝えてきたのは、2度目の海外研修となる南江祐生。
 バレエに集中できる素晴らしい環境であるとともに、海外での生活ならではの戸惑いも多いようです。たとえば、「良いとこはレッスン場が寮から近いのでギリギリまでゆっくりできるところ(笑)。困っていることは、シャワーのお湯が出るときと出ないときがあること。出ないときは本当に寒くて困っています」(山下)。そのいっぽうで、「友達もいてとても楽しいし、洗濯場やキッチンもちゃんとあるので、快適に過ごせています」(吉江)と、寮生活を存分に楽しんでいるようです。
 長い研修生活のなかでは、風邪をひいてしまったり、身体に痛みを感じたりして不安になることもあるようですが、無理をせず、皆で励まし合いながら、頑張っているそうです。

海外研修生だより【1】
 サンクトペテルブルクで勉強中!──3人の研修生を紹介します。

2016/11/11

 東京バレエ学校では、昨年度より「海外研修制度」を実施しています。
 今年度も、東京バレエ学校Sクラスの生徒を対象にオーディションが開催され、2名の研修生が選ばれました。彼らは9月から第1期生1名とともにワガノワ・バレエ・アカデミーで学んでいます。
 この制度のもと、昨年は第1期生がロシア、サンクトペテルブルクのワガノワ・バレエ・アカデミーで研鑽を積みました。8月に開催された当校のスクール・パフォーマンスでは、研修生を担当しているニコライ・フョートロフ氏の指導のもと、第1期生と第2期生が一緒に発表する機会も設けられ、その活き活きとしたパフォーマンスに、客席から大きな拍手が寄せられました。
 ここでは、彼らからの報告をもとに、現地のバレエ学校の様子や研修生たちの生活ぶりをお伝えしていきます。
 今回はまず、サンクトペテルブルクに留学中の、3人の研修生をご紹介します。


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今年度の海外研修生たち。左から南江祐生、吉江絵璃奈、山下湧吾。「今日のレッスンはレペザル(1番有名なスタジオ)でした!」



それぞれの思いを胸に

 紅一点の吉江絵璃奈は、東京バレエ学校Sクラスの生徒として、オーストラリア・バレエ団日本公演をはじめ、さまざまな舞台で子役として出演するという貴重な体験をしてきたそう。その体験が、より真剣にバレエに取り組むきっかけとなったのかもしれません。
「自力ではなかなか入学することが難しい学校に、サポート付きで学びに行けることが魅力でした。ワガノワ・バレエ・アカデミーは小さい頃からの憧れの学校で、このオーディションで掴んだチャンスを無駄にしないように、強い意志を持って学んでこようと思いました」
 ゲスト講師によるBoys-Sクラスの開催を知って東京バレエ学校への入学を決めたという山下湧吾は、「世界に出て、バレエだけではなく違う文化にも触れてみたいと思ったこと」で、海外研修を志望したそう。「まさか自分が行けることになるとは思っていなかったので、行ってもいいものか、とも思っていました」と振り返ります。
 南江祐生は昨年度も海外研修生としてワガノワ・バレエ・アカデミーで学び、これが2年目の挑戦。「バレエはもちろんのこと、バレエが発展してきた背景にある文化や歴史も学びたく、バレエ留学への憧れもあったので、応募しました。受かったときは、嬉しさと同時に、誰もが来られるわけではないことや、支援を受けて来させてもらえていることを忘れずに頑張ろうと、身が引き締まる思いもしました」

 それぞれが、さまざまな思いを抱いて取り組む海外でのチャレンジ。毎日のレッスンや慣れない海外での生活など、彼らから届けられる海外研修生活レポートに、ぜひご注目を。

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サンクトぺテルブルクの街並み 南江祐生撮影



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サンクトぺテルブルクの街並み 山下湧吾撮影

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