卒業生の活動報告【1】研究生:吉江絵璃奈インタビュー

東京バレエ団初演『海賊』の舞台に、東京バレエ学校Sクラスの卒業生が大抜擢され、ソリスト役で出演します。初日と2日目に、オダリスクの第3ヴァリエーションを踊る東京バレエ団研究生の吉江絵璃奈です。

2016年の9月から翌年6月まで、東京バレエ学校の海外研修制度(現在は東京バレエ団研究生を対象とした制度に移行)を利用してサンクトペテルブルクのワガノワ・バレエ・アカデミーに留学。

2018年4月より東京バレエ団の研究生として研鑽を積みながら、『真夏の夜の夢』で初舞台を踏み、その後も東京バレエ団の舞台で活躍しています。『海賊』開幕を間近に控え、日々リハーサルに励む彼女に、東京バレエ学校での体験や舞台への思いを聞きました。


Sクラスからワガノワ・バレエ・アカデミーへ

まずは、東京バレエ学校で学ぶようになったきっかけを聞いてみると──。

「6歳のときに、東京バレエ学校の教師でもある服部彩子先生のお教室でバレエを始めました。幼稚園の頃から、将来の夢はバレリーナ、と書いていたみたいなんです」と笑う吉江。「先生のすすめでオーディションを受けて、小学5年から8年間、東京バレエ学校のSクラスで学びました。同じクラスには中学生もいたので、皆、すごくお姉さんに見えました(笑)。ずっと(東京バレエ団バレエ・ミストレスの)佐野志織先生に教えていただいて、ヴァリエーション・クラスもあり、本当にいろいろな勉強ができたと思います。プロのバレエ団の舞台に子役として出演させてもらったことも大きな刺激になりました」

地元の教室の指導者の助けを得て、ユース・アメリカ・グランプリやローザンヌ国際バレエコンクールにも挑戦。この貴重な体験が、留学を決意するきっかけになったようです。

「ローザンヌでは入賞は逃しましたが、ファイナリストに残ることができました。このとき、ヨーロッパのバレエ学校のスカラシップのお話をいただき、留学が現実的に──。が、実は東京バレエ学校の海外研修制度を利用してワガノワ・バレエ・アカデミーに留学できると知り、最終的にこちらのほうに志望したんです。ワガノワは、小学生のときから『いつか行きたいな』と思っていた学校でしたから。親も東京バレエ学校のバックアップがあるならば、と安心して送り出してもらいました。(アーティスティック・アドヴァイザーの)ニコライ・フョードロフ先生や(東京バレエ団芸術監督の)斎藤友佳理先生もたびたび様子を見にきてくださって相談にのってくださったのが、とても心強かったです」

留学中は、レベルの高いレッスンで基礎の重要性を実感したり、ロシア人のクラスメイトたちに大いに刺激を受けたりの日々。そんななか、アカデミー主催のワガノワ国際バレエコンクールに参加し、ジュニア部門第2位という快挙を成し遂げました。

「ワガノワに入った直後、担任の先生のすすめで挑戦したんです」というが、実は、ここで彼女が踊ったのは、『ディアナとアクテオン』と、なんと今度の舞台で踊る『海賊』のオダリスク第3ヴァリエーションでした。

「私にふさわしい踊りを、と先生が選んでくださいました。比較的得意としている回転技がたくさん入っている第3ヴァリエーションを踊ることができてよかったです」


大抜擢を受け、バレエ団初演『海賊』の舞台へ

東京バレエ団による『海賊』全幕初演の舞台でこのときと同じヴァリエーションに抜擢され、「嬉しいです!」と満面の笑顔。団内でのトライアウトを重ねて掴んだ役柄だけに、その喜びもひとしおのよう。

「研究生として勉強中の身なので、候補に入れてもらえただけでも嬉しくて。が、プロの舞台にソリスト役で出るからには、いい踊りをしなければ。自分の以前のビデオを見直すと、まだ全然子どもっぽくて踊りが粗い......。直すべきところはたくさんあります」

他の団員たちとの連携も、より大切に。

「コンクールで自分一人でヴァリエーションを踊るのとは訳が違います。物語のなかの一場面ですし、女性3人で踊っていること、周りとちゃんと合っているかということを考えて踊らないといけませんよね。一緒に踊ってくださる先輩たちは、たくさんの経験があって、自分の踊りを踊りきって、そのうえで皆で合わせることができます。私も一人でウロウロしないように(笑)、皆と息を合わせながら、自分のいいところを出したいと思います」

実は、昨年の夏のスクール・パフォーマンス(東京バレエ学校の発表会)でも『海賊』を踊っています。このときは抜粋上演での主役! 『海賊』には何かと縁があるようです。

「そうですね(笑)。あのときは、バレエ学校の卒業生として、いい踊りをしようと思ってのぞみました。後輩の小さな子たちが憧れてくれるようにならなければいけませんね」

大舞台を前に、あらためてSクラスでの経験を振り返ってみると──。

「本当に恵まれていたんだな、と思っています。志織先生はバレエ団のお仕事でとてもお忙しいにもかかわらず、同時にスクールでも教えてくださっていたんだな、ということが、研究生になってはじめてわかりました。プロのダンサーを指導される方に教えてもらえたのは、すごく貴重な体験だったんです。当時、志織先生からいただいたメッセージを見直してみたら、『もっと丁寧に』とか『運動神経だけで踊らないように』と、書かれていたことはいま注意されていることと同じようなことばかり(笑)!」

では最後に『海賊』公演への抱負を。

「感謝の気持ちを忘れずに、精一杯、自分の踊りを踊りたいです。バレエ学校の皆も、ぜひ観に来てくれたらと思っています!」

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オダリスクのリハーサルより

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